要約 シン・ニホン

イシューから始めよに引き続き、同じく安宅和人さん。日本の現状の説明から始まり、如何に日本が機器的な状況であるかを力説する。このAI×データが躍進している現代、日本は全くこの波に乗れず、15年間負け続け惨敗。国力の根源である科学技術への投資は削減の一途をたどり、大学ランキング、論文数ともに急落している。その上、「ジャマおじ」たちが舵取りを行なっているが故に、全く現代への適合が進まない。

この、全く希望が見出せない現代に置いて彼は以下の提言をしている。日本は昔から0→1では勝てない。この第一フェーズが終わる今こそ、第二フェーズを奪取するための準備をするべきだと。日本の強みはオールドエコノミーをフルセットで備えている事で、まずこのフェーズに乗れる様にAI -ready化が必要だ。この国の勝ち筋として以下の点を挙げている。

1:この国は想像力では負けない

2:全てご破算で明るくやる

3:圧倒的なスピード

4:ふぞろいな木組み(アシンメトリー)

そのために求められる人材、およびポイントは、異人の時代、狭き門より入れ、運・根気・勘・チャーム、AI -ready化、リベラルアーツだと。この章で彼は「知覚は経験から生まれる」と言っているが、非常に同意するところである。また、科学技術への投資額の減少により、リーダー層の人材が不足しているが、その点は、エンジニア層とマネジメント層への教育や、外国人によって補うべきだと言っている。

ここでの根源的な問題はリソース分配が老人に多く振り分けられていることによる。この国を未来に賭けられる国にするために、いくつかの提言をしている。医療費に向けられる費用のほんの数%だけ若者に、科学技術研究費に回せというのだ。また膨張し続ける社会保証費に対応するため、保険に松竹梅をつけるべきとも提言している。

最後の章では、地球環境や不確実性について触れているが、個人的には、

人:家畜:野生動物=3トン:7トン:1トン

と言う点が非常に印象的であった。家畜が人のために存在すると言うなら、人はこの地球の9割以上支配している事になる。

そんな地球をディストピアにさせないために、彼は「風の谷」コンセプトを打ち出す。簡単に言うと、田舎に住もう、環境負荷を低減させようと言う事だ。

この先の未来が、風の谷なのか、はたまたブレードランナーなのかはわからない。

しかし、このコロナ禍に、このタイミングで、この本が売れるのは、何らかの必然もあるのかもしれないと思わなくもない今日この頃である。

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